f:id:hkmy:20171013173536j:plain

先月末、あるニュースが報道され、話題になりました。

⇒ The Self Driving Car Whiz Who Fell from Grace | WIRED(英語)

 

概要としては「Googleストリートビューの完成に一役買ったエンジニアが、人工知能を基にした神の発展、実現を目的とした団体を設立した」というもの。

「人工知能を基にした神を発展させ、その実現を進めていくこと」が同団体の使命だという。団体によると、こうした神の理解は「社会の改善」に貢献する。

元ウーバー社員、AI教を立ち上げ – Sputnik 日本

 

端的に言えば「AIを本気で神にする」団体でして、いや、まぁ、ITもここまで来たか、と。

創作としてはSFやらサイバーパンクやらでやり過ぎて、もはやベタベタ。手垢まみれですよ。

宗教団体『Way of the Future』

AIを基にした神を作ろうと試みている団体の名は、「Way of the Future」。

日本のニュース記事なんかだと、未来の道、なんて訳されています。

 

宗教団体としての正式な手続きこそ行っていないものの、設立時にカリフォルニア州へ提出された書類には「人工知能(AI)に基づいたGodheadの実現、開発。そしてGodheadの理解と崇拝を通し、より良い社会作りへ貢献すること。」という理念が記されていたようで。

Way of the Future has not filed any forms with the IRS to qualify as a tax-exempt religious organization, but it has submitted documents with California that reveal Levandowski as the group’s CEO and president, and that it aims “through understanding and worship of the Godhead, [to] contribute to the betterment of society.”

Anthony Levandowski, Uber’s fired self-driving car engineer, founded his own church – The Verge

 

「AIを信じよう!」というよりは、「崇め奉るに値するAIを作るぞ!」てなノリでしょうか?

倫理の是非はおいといて、とりあえず情熱は感じますね。

 

団体を創設したアンソニー君とは

で、『Way of the Future』の創設を行ったのがAnthony Levandowski氏。

 

宗教団体の開祖よろしく、やはりエリート街道まっしぐらな方でして、

  • 14歳でベルギーより渡米
  • カリフォルニア大学
  • 設立したベンチャーをGoogleが買収

とまぁ「できる奴」っぽいエピソードには事欠かない感じ。

設立した会社では、写真と位置情報を関連付けるシステムを開発しており、それがGoogleストリートビューの撮影に使われています。超エリート。

その後、「510 Systems」という会社を設立。写真の撮影情報と位置情報を結びつけるシステムを開発し、Googleに買収された。このシステムがGoogleストリートビューの撮影に使用されることになる。

「人工知能で神を」 元Googleエンジニアが宗教団体を創立

 

紆余曲折ありGoogleを退社しているのですが、その際にGoogleから機密情報をパクっただのなんだので訴えられてたり。

その結果、退社後に設立した会社から解雇されています。

解雇された企業もUberに6億8000万ドルで買収されてまして、企業を育成する手腕は疑う余地なし。

⇒ UberのOtto自動運転トラックの最初の積み荷はビール5万本 | TechCrunch Japan

 

で、3度目の正直と言わんばかりの団体設立が、『Way of the Future』。

これだけ結果を残されていると、『Way of the Future』も一筋縄では行かない団体であることは想像に難しくありません。

 

普通の宗教とは一味違う

AI信仰ともなると、やはり普通の宗教とは一味違うものになります。

 

広く愛されている宗教は、「神は基本的にこちら側へ不干渉だが、意思である教えに則り行動することで、恩恵や幸福を享受できる」と考えるものが多いです。

真理(宗)の教えを大事にするから宗教。

礎となっている教えが道徳を説いている場合も多く、「自身を持て」とか「他人に優しく」といった内容が世界宗教では一般的です。

 

対して、信仰対象を実在の人物とする宗教も少なからず存在しますが、そういった流派は信仰外の方からあまり良い印象を受けていないのが実情。

活動の社会的善悪は抜きにしても。

 

さて、両者にどんな違いがあるのか。これはやはり「信仰対象が観測できるか否か」ではないでしょうか。

教えというクッションを挟む事で、都合良く解釈できる前者。

転じて、直接的な言葉がある事で、絶対的な解釈しか許さない後者。

 

個人的には、宗教にも遊びが必要だと思うんですよね。

 

でもって、ここでAI信仰がどちらに属するのか、と考えれば当然後者な訳で。

結果、世のSFにおけるAI信仰の行きつく先が「戦争」なのですが、『Way of the Future』の行きつく先は果たして。

どう転んでも波乱は免れないでしょうし、これからの動向に目が離せませんね。

 

フィクションにおける人工知能 – Wikipedia

▲大抵人間と争ってる

 

SFと現実の境目が曖昧になりつつある

映画で見るような空を飛ぶ盆栽やら、Googleのうっかりで発生した超大規模な接続障害やら。

20世紀に「SF」として心を躍らされていたものが、21世紀には「現実」として繰り広げられています。

 

 

すでにペットへのマイクロチップ埋込みが一般的になっていたり、

環境省_マイクロチップをいれていますか? [動物の愛護と適切な管理]

人体を光らせるためだけに手術しちゃうようなITエンジョイ勢が居るような時代ですしね。

【閲覧注意】人体をDIYで「サイボーグ化」する人々──その痛々しくも「未来的」な肉体改造の瞬間|WIRED.jp

▲画像めっちゃグロいんで注意

 

このまま行けば、タイムマシンやらコールドスリープやらの実用化も近いかも!

とワクワクする日々でござーます。